「台風は温帯低気圧に変わりました」の意味を、ただしく認識されていますか?
<当支部の会員である板井秀泰様からの情報提供です。>
テレビで「台風は温帯低気圧に変わりました」と聞いたことがあると思います。
これって「大雨や暴風の危険は無くなったということ?」と思っていませんか。
結論を先にいうと、単に、低気圧の気象学的な「構造」が変化したことを示すもので、大雨や暴風の危険が無くなったことを意味するものではありません。
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼び、最大風速が18メートル以上になると「台風」と呼びます。<7月24日コラム 参照>
「熱帯低気圧(台風)」は、海面水温の高い熱帯の海上にある大量の水蒸気をエネルギーに発生・発達します。
このため「中心付近は暖かい空気のみ」存在します。
温帯地域にある日本付近の空気の温度は、熱帯に比べて低くなっています。
このため、「熱帯低気圧(台風)」が日本付近まで北上してくると、周囲の低い温度の空気が入って「中心付近は暖かい空気のみ」とは言えない「構造」に変化する場合があります。
そのような時「台風は温帯低気圧に変わった」というのです。
一般的に、台風は中心付近ほど風が強くなります。一方、温帯低気圧は風の強い領域が広く、中心から離れた場所でも風が強くなります。
<台風(熱帯低気圧)と温帯低気圧の風の強い領域>
また、温帯低気圧に変わっても、雨の源となる暖かく湿った空気を抱えているので、風だけでなく雨の危険が無くなったわけではないのです。
テレビで「台風は温帯低気圧に変わりました」と聞いても、決して気を緩めず、自治体から発表される避難情報や防災気象情報に留意してください。
そして、命を守る安全確保行動をおねがいします。
(参考) 解説:温帯低気圧と台風(気象庁ホームページ)
7月5日コラム 日頃から防災気象情報に触れ、早めの避難判断を(気象庁ホームページ)