「熱中症警戒アラート(試行)」が始まります

これから日が進むにつれて本格的な暑さになってゆきます。

環境省と気象庁は、6月16日『「熱中症警戒アラート(試行)」が始まります』という報道発表を行いました。

国民の熱中症予防行動を効果的に促すため、「暑さの指数(WBGT)」を用いた「熱中症警戒アラート(試行)」を発表するというものです。期間は7月1日~10月28日まで、“試行”ですので対象は関東甲信地方の1都8県です。

この報道発表は次の所にありますが、

(1) http://www.jma.go.jp/jma/press/2006/16a/20200616_nettyusyou.html

先に、次の“参考資料”で概要をご理解していただいた方がよいように思います。

(2) http://www.jma.go.jp/jma/press/2006/16a/20200616_sankou.pdf

そのうえで、時間に余裕があれば次のものが参考になります。

(3) http://www.jma.go.jp/jma/press/2006/16a/20200616_nettyuusyou.pdf

(4) http://www.jma.go.jp/jma/press/2006/16a/20200616_siryou1.pdf

(5) http://www.jma.go.jp/jma/press/2006/16a/20200616_siryou2.pdf

これまで、翌日又は当日の最高気温が概ね35℃以上になることが予想される場合に「高温注意情報」が発表されてきましたが、熱中症警戒アラート(試行)では、発表基準に“暑さ指数(WBGT)”が“33℃以上”を用います。

“暑さ指数(WBGT)”の解説は、次の環境省HPにあります。

(6) https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_lp.php

(7) https://www.wbgt.env.go.jp/doc_observation.php

なぜ、“暑さ指数(WBGT)”を用いるのかということになるのですが、その解説は次です。

(8) https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_ex.php

より詳しくお知りになりたい場合は、これらのページの下にある“詳細情報”やリンク先メニューをご利用ください。

以下は私見です。

“暑さ指数(WBGT)”は、(6)に示されるように、気温に加え、湿度や輻射熱が考慮されたものですので、気温そのものよりも、蒸し暑さや輻射熱が加味されるなど、“人が感じる暑さ”により似合ったものです。

ただ、どのように観測され、どのように予想されるかの詳細になると、なかなか説明が容易ではありません。

近年、大きな工事現場では(6)の画像に示される“黒球温度”を測る機器(黒い球)を見かけることがありますが・・・。

また、“湿球温度”は水銀・アルコール温度計の感部にガーゼを張り、水で湿らせ“湿球温度”を測り、湿度や露点温度を算出するために測りますが、現役気象庁職員でもこれを知らなかったり、実際に観測したことがなかったりするのが実情ではないでしょうか。

1980年代には水銀・アルコールの温度計は実務では用いられなくなり、これらが入っていた百葉箱(ひゃくようばこ、ひゃくようそう)も用いられなくなりました。

(7)に示されるように“暑さ指数(WBGT)”の歴史は相当古いのですが、一般になかなか普及してこなかったように感じています。

この普及してこなかった“暑さ指数(WBGT)”を今回利用してゆくことになるのですが、これが国民の皆様にご理解していただき受け入れられるのかが心配です。

数値そのものも、高温注意情報基準の気温35℃に近い、暑さ指数(WBGT)33℃ですので、混乱や誤解が生じなければと思ってしまいます。

また、個人的には指数なんだから、「℃」の単位がいらないのでは・・・とも思います。

いやそれよりも、半世紀以上も前に提案された“暑さ指数”を今更使わなくても、現在ではもっと“人の暑さ”を示すことができる“指数”を作り出せるのではないかと思います。

気象庁は、土砂災害の「土壌雨量指数」、浸水害の「表面雨量指数」、洪水の「流域雨量指数」などを作り出してきた技術があるのに・・・とも思っています。

長くなってしまいそうで、このぐらいにします。

最後に、私がここ数年熱中症の注意喚起のために用いてきた“熱中症で亡くなった方の数”を示すスライドに、昨年の数を追加・更新しましたので、これを添付しておきます。

昨年(平成元年)も1221名の方が熱中症で亡くなっています。

気象災害で亡くなる方よりも多く、新型コロナウイルス感染拡大と同様、深刻な問題でもあります。

私も気を引き締めて、熱中症予防に取り組んでゆきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、皆さまにおかれましても、真夏日・猛暑日が増えてゆく時節です、ご自愛専一のほどお祈り申し上げます。