流域に関わる全員で水災害に立ち向かう

<当支部会員の板井秀泰(印西市)様よりご寄稿いただきました>

毎年のように発生する豪雨災害。気候変動の影響を受け、今後、さらに大雨による影響が大きくなると考えられています。
このような状況のなか、その対策の考え方が変化してきています。

〇これまでの治水対策
これまでの治水対策は、川の堤防やダムなど、ハード(コンクリートのイメージ)の施設で、洪水を抑え込もう、抑え込もうとしてきました。しかし、「千葉県の河川海岸図」に掲載されている河川だけでも、362本もあるのです。
今後更に大雨による影響が増大すると想定される状況下において、整備・維持管理に莫大な税金と時間を要するハード対策ですべてを抑え込むことは不可能です。

〇流域に関わる全員で水災害に立ち向かう
そこで打ち出されたのが、「流域治水」という考え方です。
堤防やダム等のハード対策だけでなく、集水域(降った雨が川に集まってくる地域)や、氾濫域の住民・企業を含め、流域に関わる全員で水災害に立ち向かおうとする考え方です。
対策は、水があふれることを前提に3つの柱となっています。
①河川改修や貯留施設等、氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策
②建築規制や集団移転等、浸水のおそれがある危険な場所に住む対象者をできるだけ減らす対策
③地区防災計画、マイタイムライン等、避難対策
「イメージ」

〇千葉県の「流域治水」
流域治水を計画的に推進していくため、千葉県は流域の関係者で構成される「流域治水協議会」を設立し、早急に実施すべき流域治水の全体像を示す「流域治水プロジェクト」を策定・公表しています。
災害が起こる前に如何に備えられるか、それがポイントになります。
「流域治水」について:千葉県ホームページ

〇千葉県内河川の整備水準
今後20~30年間に計画的に実施する千葉県の河川整備目標は、当面、1時間に50ミリ(年超過確率1/10の降雨)とのことです。
ただ、昭和51年から昨年(令和3年)まで、毎年の最大1時間雨量(アメダスによる雨量観測点が18箇所の最大値)を見てください。
年最大一時間雨量
ほぼ毎年、千葉県のどこかで河川整備目標(1時間に50ミリ)を超える雨が降っているのです。
堤防やダム等のハード対策だけで洪水を抑え込むことは不可能だということ、あらためて認識してください。
そして、自分の命、大切な人の命は自らが守るという意識のもと、皆さんも流域に関わる当事者として、全員で水災害に立ち向かいましょう。

【ご参考】
みんなでやろう流域治水(YouTube):国土交通省関東地方整備局
【豪雨災害】新たな備え”流域治水”とは?「命を守る天災学」:日本テレビ
千葉県の河川計画:千葉県ホームページ