千葉県に火山はありませんが他人事と思っていませんか?

<当支部会員の板井秀泰様よりご寄稿頂きました。>

1月15日13時頃、トンガ諸島付近の火山で大規模噴火が発生しました。
千葉県に火山はありませんが、他人事と思っていて大丈夫でしょうか。
火山噴火による千葉県への影響について調べてみました。
(今回、津波は除いています)

〇静かすぎた20世紀
元 火山噴火予知連絡会会長の東京大学名誉教授 藤井 敏嗣先生によると、「20世紀の火山活動は異常に静かだった。21世紀には少なくとも5~6回は大規模噴火が起こると考えるのが自然」と警鐘をならしています。
また、「富士山は遠くない将来に必ず噴火する。300年の休止期間を経た噴火は、爆発的な噴火となる可能性がある。」とのことです。
※火山爆発指数(VIE)4以上(噴出物の体積10億立方メートル以上に相当)を「大規模噴火」と呼んでいます。

〇富士山が噴火すると千葉県は甚大な影響を受ける
富士山の宝永大噴火(1707年)は火山爆発指数(VIE)5と言われており、千葉県でも大きな影響を受けました。
国の中央防災会議(大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ)が行った最新のシミュレーション(宝永噴火と同じような条件、西風卓越)では、市原市付近で5センチ成田市付近で1センチの火山灰が堆積するイメージです。

〇火山灰の影響
降り積もった火山灰は、雪のように融けて無くなることはありません。
除去しなければいつまでも我々の健康や社会生活に影響を与えることになります。
乾燥状態の場合、風や人の活動により地面に積もった火山灰が再度巻き上げられて、視界を遮る原因となります。
降水等によって湿っていると更に厄介で、こびりついたり、重くなって建物の屋根等により多くの負荷をかけることになります。
NHKのサイトを参考に火山灰の影響をまとめてみました。
(1)道路
火山灰が1ミリ以上積もると車が出せる速度は30キロ程度、10センチ以上積もると通行ができなくなります。
先行車が巻き上げた灰で視界不良となれば運転できませんし、数ミリの灰でも、雨が降るとドロドロとなりスリップするなどして交通事故が相次ぎます。
(2)鉄道
火山灰が線路に0.5ミリ積もると、電気で制御されている運行システムなどに障害が発生し運行できなくなります。
(3)航空機
エンジンが火山灰を吸い込むと止まるおそれがあり飛行ができなくなります。滑走路も灰を取り除くまで使えません。
(4)電力
火山灰に含まれる成分により、ショートするなどして広範囲が停電が発生します。
(5)水道と下水道
2ミリ以上の火山灰が積もると、一部の浄水場は稼働できなくなり、水道の供給に影響がでます。
雨が降ると、下水管が詰まるなどして下水があふれます。
(6)建物
10センチの灰が積もると、1平方メートル当たりの重さはおよそ100キロとなります。
50センチ以上積もると新しい建物でも被害が出るおそれがあります。
雨が降ると、さらに重さは増し建物への影響は大きくなります。
(7)人体への影響
ぜんそく患者など肺に疾患がある人は、症状が悪化するおそれがあります。
健康な人でも、のどや気管支などに影響が出るおそれがあります。

〇関連リンク
NHK備える防災:今後の火山活動と噴火予知(静かすぎた20世紀)  https://www.nhk.or.jp/sonae/column/20130114.html
降灰シミュレーション 計算結果(大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ) http://www.bousai.go.jp/kazan/kouikikouhaiworking/pdf/syutoshiryo_01.pdf