「防災」を、学校の負担が増えないよう溶け込ませて扱う工夫

<当会会員、印西市の板井秀泰様よりご寄稿頂きました>

学校で扱わなければならない学習項目は多岐にわたります。年間の授業時間数も限られています。
そのような状況下において、「防災」は、教科として独立しておらず、決められた教科書もないので、取り組み自体は各校の運営方針や校長の考えに大きく左右されます。担任の先生の興味関心に左右される場合もあるかもしれません。
このため、学校により防災教育のレベルに大きな差が生じているのが現状なようです。
もちろん先生方も防災教育の重要性は理解されているので、なんとか学校で防災教育の時間を確保していただくためには、学校や先生方の負担が増えないよう工夫が必要になってきます。

文部科学省は、その工夫のひとつとして「学校安全資料『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」において、各教科の中で、防災を「ネタ(教材や題材)」として取り入れる方法を提案しています。
例えば、中学校社会科の地理的分野において自然災害と防災への取り組みなどをもとに日本の自然環境に関する特色を理解する。数学の中で津波の速度を題材にして計算するなどの方法です。

(例)岩手県釜石市:津波防災教育のための手引き
(例)2023年度 大学入学共通テスト:地理A・B
※利根川下流、佐原周辺の水害とその対策施設等が扱われています

学校における防災教育は、10年後に地域を支える大人をつくり、20年後には地域の防災文化をつくる礎となります。
私たちの活動も、このあたりを意識する必要があるかもしれません。

(参考)
文部科学省:「学校安全資料『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」について
内閣府:防災・減災、国土強靱化新時代の実現のための提言(令和3年5月25日)
防災教育・周知啓発ワーキンググループ防災教育チーム 提言